二十四日の昼前だった。
店の空気は、いつも通りだった。
少し眠たくなるような時間帯で、私はレジ周りを整えながら、「今日はこのまま静かに終わるかもしれない」なんて、甘いことを考えていた。
こういう時に限って、何か起きる。
本当に、見事なくらい起きる。
最初に聞こえたのは、変な音だった。
鈍い。
重い。
嫌な予感だけは一瞬で伝わる音。
次の瞬間、ドンッ、と腹に響く衝撃が来た。
そのあと、バリバリッと壁が裂けるような音。
私は反射的に顔を上げた。
店の中の空気が、一気に止まった。
「え、何?」
誰かがそう言った。
でも、言い終わる前に、みんなもうわかっていた。
ただ事じゃない。
私は店の外へ走った。
自動ドアを抜けた瞬間、目の前の光景に足が止まった。
駐車場の壁が、派手に壊れていた。
ひび割れ、なんて可愛いものじゃない。
大きく口を開けたみたいに壁が裂けて、白い破片が地面に散らばっていた。
中の暗い空洞が見えている。
粉っぽい匂いが漂って、空気までざらついていた。
一瞬、頭が真っ白になった。
いや、ちょっと待って。
何をどうしたら、こんな壊れ方をするの。
壁って、そんな簡単に負ける存在だったっけ。
しかも、壊れた場所が悪すぎた。
そこはエレベーターの近くだった。
つまり、ただ壁が壊れただけじゃ済まない。
エレベーターが使えない。
終わった、と思った。
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