「ここ、私の場所よ!」
浴室に入るなり、前排の洗い場から怒声が響いた。え、なに?私は心の中で固まった。目の前には、洗髪用のシャンプーやボディソープで埋め尽くされた洗い場に、強烈な存在感を放つおばあさんが立っている。
「はぁ?ここって予約席じゃないよね…?」私は小声でつぶやきつつ、脇をすり抜けようとした。
しかし、彼女の目が私にロックオン。
「どいて!これは私の場所なんだから!」
声の迫力に、他の利用客もちらりとこちらを見た。私は心臓がドキドキ。こんなに怒鳴られるのは初めてだ。周囲の人たちも、微妙に距離を置いて静観している。
「えっと…スタッフを呼ぼう…」私は内心で決意し、すぐに声をかけた。
数秒後、スタッフが現れ、落ち着いた口調で注意する。「ここは場所取り禁止です。全員が平等に使えるようにしてください」
おばあさんは激怒。「なんでダメなのよぉ!」と怒鳴るが、スタッフの毅然とした態度に反論できない。彼女は渋々、荷物を整理してその場を退いた。
私はその瞬間、心の中で小さなガッツポーズ。やった、勝った。怒号と威圧に負けず、ルールと理性の勝利だ。
周囲の顧客も小さく笑い、私の肩越しに「ナイス!」という目線を投げてくる。
洗い場に立つと、前回使ったときより広々と感じる。手元にシャンプーを並べながら、あの怪婆の顔を思い出して思わず笑った。こんなにも圧の強い人間をルールで制することができるとは…日帰り温泉での小さな勝利だけど、心地よい達成感が体を包む。
湯船に浸かると、温かいお湯が全身を包み込み、緊張でこわばった肩も解けていく。怪婆の存在はもう気にならない。代わりに、平和に温泉を楽しむことのありがたさが身に染みる。
その後も、怪婆はちらちら周囲を見ていたが、スタッフの監視とルールの前にはもう手出しできない。私は心の中で再びガッツポーズ。ルールと理性が、今日も勝利した瞬間だ。
外の休憩スペースで水分を取りながら、私はスマホを取り出して今日の出来事をメモする。FBに投稿すれば、「なんてモンスターだ!」とコメントが殺到するだろう。でも、私は心の中でニヤリ。単なるモンスター相手ではなく、私自身がルールと理性の勝利を収めた、爽快な日帰り温泉体験だったのだ。