焼きうどんを作ろうとして、フライパンに麺をほぐした瞬間、指先に違和感が走った。
白い麺の中に、透明の異物が光っていた。
最初は袋を開けたときにビニールが混ざったのかと思った。でも違った。
それは麺の中に練り込まれていた。
一本じゃない。
三玉使って、五片。
一瞬、ゾッとした。
これ、気づかず食べてたらどうなってたんだろう。
すぐ購入した某スーパーに連絡した。
すると責任者の方が、10分も経たずに自宅まで謝罪に来てくれた。
対応が早くて、正直ほっとした。
「ああ、ちゃんとしてる会社なんだ」って思った。
でも、本当の違和感はその後だった。
工場の責任者から電話がきた。
事情を説明している途中、相手は言った。
「それは…聞き間違いでは?」
一瞬、意味がわからなかった。
異物が入っている事実の話なのに、“聞き間違い”?
そして次の瞬間、電話の向こうで小さく笑った。
その笑いが、胸に刺さった。
私は賠償を求めたわけじゃない。
騒ぎたかったわけでもない。
ただ、食品の中に異物が入っていた事実を伝えただけ。
それなのに、笑う?
「今回のような異物混入の問い合わせは他にありませんので」
その言葉は、まるでこう言われているみたいだった。
“あなたの勘違いじゃないですか?”
あの瞬間、はっきり決めた。
これはもう、個人のやり取りで終わらせていい問題じゃない。
気づかず食べている人がいるかもしれない。
健康被害が出たらどうするのか。
私は怒鳴らなかった。
感情でぶつかっても意味がない。
代わりに、全部残した。
異物の現物。
麺の状態。
通話の記録。
時刻。
そして翌朝、保健所に連絡した。
担当者の声は淡々としていたけれど、重みがあった。
「それは確認が必要ですね」
数日後、連絡が入った。
調査が入ることになったと。
その後の工場側の対応は、最初の電話とは別人のようだった。
言葉を選び、慎重で、謝罪のトーンも違う。
私は冷静に伝えた。
「大事になってから慌てても遅いんですよ。」
電話の向こうは沈黙した。
あの時、笑っていた人は、今どんな顔をしているんだろう。
私はクレーマーじゃない。
ただ、当事者として動いただけ。
もし誰かが同じ状況に遭ったとき、
「言っていいんだ」って思える材料になればいい。
食品の中の異物より怖いのは、
それを軽く扱う態度だと思った。
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]