マックの後、24時間営業のスーパー寄ったんだけど、いちごが780円。
別に安くはないんだけど、1パックだけ残ってたからカゴに入れた。
んで、みかんとかバナナとか見てたら、ちょっとヤンキーっぽいお兄さんが誰かと電話しながらやってきてさ。
「いちごないよ~🥺 りんごとみかんはある🥺 でもいちごじゃないとだめだよね……」
って言ってんのよ。
声がデカい。感情がでかい。語尾が赤ちゃん。
(この時間にいちご探してるってことは
「こどもが体調不良でいちごをご所望」か
「嫁がつわりでいちごをご所望」
のどっちかだな……)
って秒で脳内推理が走ったので、さっきカゴに入れたいちごを
ソッ……
と戻した。
次の瞬間、ヤンキー兄さんがクソデカ大声で
「エッ?!?!?!」
って言うの聞きながら、私はお野菜のコーナーへ移動。
(ごめんて。声出るよね。わかる。)
――ここまでなら、ちょっといいことした気分で終わる話じゃん?
終わらなかったんだよね。
小松菜を手に取った瞬間、背後から落ちてきた低めの声。
「……今の、わざと戻したよね」
心臓、終わった。
振り向くと、そこにいたのは便装の中年男性。
妙に服がきれいで、立ち方が落ち着きすぎてて、目が“人を見てる”目してる。
社会人っていうか、社会。
私、反射で早口。
「ち、違います!盗ってないです!入れただけです!戻しただけです!怪しいのは認めますけど!」
男、なぜか笑う。
「怒ってないよ。むしろ、感心してる」
「……え?」
男は、いちごの棚の方向をチラッと見て言った。
「君、あの電話聞いて戻したでしょ。
普通なら知らん顔する。だけど君は、わざと“気づかれないように”戻した」
いや、そんな…大したこと…
って言おうとしたら、男が続けた。
「俺、今“人”を見てたんだ」
「……人?」
「店の。接客の。空気の。」
意味がわからなすぎて、脳が一回フリーズ。
男はポケットから名刺を取り出して、スッと差し出した。
そこには、見覚えのある近所のチェーン店名と肩書き。
代表/オーナー
……え?
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