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780円のいちご最後の1パックを譲ったら終わりのはずが、終わらなかった—名刺を差し出された深夜の話
2026/01/20

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マックの後、24時間営業のスーパー寄ったんだけど、いちごが780円。
別に安くはないんだけど、1パックだけ残ってたからカゴに入れた。

んで、みかんとかバナナとか見てたら、ちょっとヤンキーっぽいお兄さんが誰かと電話しながらやってきてさ。

「いちごないよ~🥺 りんごとみかんはある🥺 でもいちごじゃないとだめだよね……」

って言ってんのよ。
声がデカい。感情がでかい。語尾が赤ちゃん。

(この時間にいちご探してるってことは
「こどもが体調不良でいちごをご所望」か
「嫁がつわりでいちごをご所望」
のどっちかだな……)

って秒で脳内推理が走ったので、さっきカゴに入れたいちごを

ソッ……

と戻した。

次の瞬間、ヤンキー兄さんがクソデカ大声で

「エッ?!?!?!」

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って言うの聞きながら、私はお野菜のコーナーへ移動。
(ごめんて。声出るよね。わかる。)

――ここまでなら、ちょっといいことした気分で終わる話じゃん?

終わらなかったんだよね。

小松菜を手に取った瞬間、背後から落ちてきた低めの声。

「……今の、わざと戻したよね」

心臓、終わった。

振り向くと、そこにいたのは便装の中年男性。
妙に服がきれいで、立ち方が落ち着きすぎてて、目が“人を見てる”目してる。
社会人っていうか、社会。

私、反射で早口。

「ち、違います!盗ってないです!入れただけです!戻しただけです!怪しいのは認めますけど!」

男、なぜか笑う。

「怒ってないよ。むしろ、感心してる」

「……え?」

男は、いちごの棚の方向をチラッと見て言った。

「君、あの電話聞いて戻したでしょ。普通なら知らん顔する。だけど君は、わざと“気づかれないように”戻した」

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いや、そんな…大したこと…

って言おうとしたら、男が続けた。

「俺、今“人”を見てたんだ」

「……人?」

「店の。接客の。空気の。」

意味がわからなすぎて、脳が一回フリーズ。

男はポケットから名刺を取り出して、スッと差し出した。

そこには、見覚えのある近所のチェーン店名と肩書き。

代表/オーナー

……え?
オーナー???

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