私は現在78歳。
毎月の年金は、わずか7万円です。
正直に言えば、老人ホームに入るには最低でも月15万から20万円は必要だと思っていました。
年金が7万円しかない自分には、そんな選択肢は最初から存在しない――そう信じ込んでいたのです。
ところが、現実は少し違いました。
年金が少なくても、老人ホームで暮らすことは可能だったのです。
私が入ったのは「経費老人ホーム」と呼ばれる施設でした。
これは、所得の低い高齢者向けに用意された施設で、月額6万〜7万円ほどで入居できます。
家賃や食費が抑えられているため、私のような年金生活者でも何とか暮らしていける場所です。
「これで安心できる」――入居前は、そう思っていました。
しかし、実際に暮らし始めてから、誰も教えてくれなかった現実を知ることになります。
部屋は6畳ほどの個室。
あるのはベッドと、小さな机だけ。
食事の量は少なく、味気ないものでした。
起きる時間、食事の時間、寝る時間はすべて決められており、自由はほとんどありません。
その規則正しさは、どこか刑務所のようにも感じられました。
「これが、私の思い描いていた老後なのだろうか」
このまま、誰とも深く関わることなく、静かに一生を終えるのか――
そんな不安が、胸を締めつけました。
けれど、不思議なことに、日が経つにつれて気持ちは少しずつ変わっていきました。
廊下で交わす何気ない挨拶。
同じ境遇を生きてきた人たちとの、短い会話。
派手な老後ではありません。
自由も多くはありません。
それでも、「ひとりではない」と感じられる瞬間が、確かに増えていったのです。
年金7万円でも、生きる場所はあります。
そして、思いがけない形で、心が救われることもある。