もし、明日から給料が10万円下がると告げられたら——
あなたは、働き続けるだろうか。
山田誠、57歳。
35年間、研究開発一筋で会社を支えてきた男は、その日、人事から一枚の紙を渡された。
「役職定年に伴い、来月から月収は50万円から40万円になります。配属は品質管理部です」
一瞬、言葉を失った。
ヒット商品を生み続けてきた自負が、静かに音を立てて崩れていく。
「……そうか。仕方ないな」
そう答えながら、胸の奥では別の声が響いていた。
妻の治療費、娘の学費、残る住宅ローン。
月10万円の減収は、生活に直撃する。
それでも山田は会社に残った。
収入が必要だったからだ。
——そして3年後、60歳。
定年を前に、再び現実が突きつけられる。
「60歳以降の給与は、月約24万円になります」
役職定年前と比べ、半分以下。
さらに追い打ちをかけるように、制度の説明が続く。
「現在、企業には65歳までの雇用確保が義務づけられています。
ただし、2025年4月以降は高年齢雇用継続給付が縮小されます」
山田のケースではこうだ。
・60歳時点の賃金:40万円
・60歳以降の賃金:24万円
→ 賃金低下率:60%
従来なら
24万円 × 15% = 3万6,000円/月 支給されていた給付金が、
2025年以降は
24万円 × 10% = 2万4,000円/月 に減る。
年間で14万4,000円の差。
小さくはない。
それでも山田は働き続ける道を選んだ。
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