近年、銀行取引を含む日常生活において、税務署からのお尋ねが届くことがあります。特に、友人との旅行費用や親からの送金など、普段は何気なく行っている取引が疑わしいと見なされ、税務署の調査を引き起こす可能性があることをご存知でしょうか。これは、日常生活における「疑わしい取引」の報告制度(STR)によるものです。この制度の影響と、私たちが取るべき対策について解説します。
STRとは、金融機関や特定の事業者が、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪に関連する可能性がある取引を監督当局に報告する義務を持つ制度です。具体的には、銀行、証券会社、保険会社などが疑わしい取引を発見した場合、それを監督機関(金融庁など)に報告し、その後、J-FICC(日本金融情報センター)に集約されます。J-FICCでは、収集した情報を分析し、必要に応じて税務署に提供されることになります。
このため、税務署が私たちの取引に関して疑念を持ち、調査が始まる場合があります。
特に、送金の目的が不明確であったり、取引が異常に高額であったりすると、税務署が疑わしい取引として注目することがあります。
日常生活の中でよく見かける疑わしい取引について、以下のような事例があります。
親族からの多額の振込
親や兄弟から数百万円単位の送金が行われた場合、その資金の出所や目的が不明確であるため、税務署から疑われることがあります。特に、相続税や贈与税の逃れを目的としているのではないか、またはマネーロンダリングに関与しているのではないかと見なされることがあります。
タンス預金の一括入金
長年にわたり自宅で現金を保管していた場合、その現金を一度に銀行口座に入金することは、資金の出所が不明確なため疑いをかけられる原因となります。例えば、数百万円を一度に入金した場合、それが合法的な資産であるか、犯罪によって得たものであるかの区別がつかないため、マネーロンダリングの疑いをかけられる可能性があります。
高齢者の突然の高額な現金出金
高齢者が自分の口座から突然多額の現金を引き出すことも、特殊詐欺などの被害に遭っているのではないかと疑われる場合があります。特に、高齢者がATMで頻繁に高額な現金を引き出すと、不審に思われることがあります。
給与振り込み後の一括引き出し
給与が振り込まれた後、すぐにその全額または多額の現金を引き出す行為は、通常の生活費の使用とは見なされず、不自然な動きとして疑われます。
特に、第三者による口座の売買や譲渡が行われている可能性を指摘されることがあります。
これらの事例に対して、税務署からの疑いを避けるための対策としては、以下の点を徹底することが重要です。
不自然な取引を避ける
極端な金額の入金や引き出しを避け、取引が常識的な範囲で行われるようにしましょう。特に、大きな金額を短期間に一度に動かすことは、疑いを招きやすいです。
お金の動きを証明できる証拠を残す
送金の理由や出所を証明するために、送金依頼書や振込明細書など、取引に関する証拠をきちんと保管しましょう。もし税務署からお尋ねがあった場合、証拠を示すことができれば、疑いを晴らすことができます。
口座の適正な利用を徹底する
自分の口座を適切に利用し、無駄な取引や不自然な動きを避けましょう。特に、給与振り込み後のすぐの引き出しには注意が必要です。
金融機関からの問い合わせに誠実に対応する
万が一、金融機関から取引について問い合わせがあった場合、誠実に対応することが重要です。疑わしい取引を避け、正当な理由があれば、それをしっかり説明できるようにしましょう。
日常生活で何気なく行っている銀行取引が、実は税務署からの調査を招くことがあることをご理解いただけたでしょうか。疑わしい取引として注目される原因として、親族からの多額の振込やタンス預金の一括入金、高齢者の現金引き出しなどがありますが、これらを避けるための対策として、不自然な取引を避け、お金の動きを証明する証拠を残すことが重要です。税務署からの調査を避けるために、正当な取引を行い、もし疑問が生じた場合には、誠実に対応することが大切です。