私はあの日、自分がものすごく賢い選択をした気でいた。
娘の進学先を決める時、私はずっと「どうせ行かせるなら、少しでも環境のいい学校に」と思っていた。校舎がきれいで、先生の面倒見もよくて、進学実績もそこそこいい。私立高校の説明会に行くたびに、「やっぱりこういう学校に行かせてあげたいな」と気持ちは傾いていった。
でも、現実問題としてお金があるわけじゃない。だから最後まで迷っていた。
そんな時、あの紙を見た。
「高等学校等就学支援金 457,200円」
私はその数字だけを見て、勝手に都合よく解釈した。
「え、そんなに補助が出るの? じゃあ私立でも、ほとんどお金かからないじゃん」
私は家に帰るなり、その納付案内をテーブルに叩きつけて、夫に言った。
「見てよ。私立って、今ほとんどタダみたいなもんなんだね」
夫はその場で全部を信じたわけじゃなかった。けれど、私があまりにも自信満々に言うものだから、最終的には「そこまで言うなら」と納得した。
今思えば、あの時ちゃんと細かく見直していればよかった。
でも私は見なかった。
正確には、見ようとしなかった。
見たかったのは「私の選択は正しい」という証拠だけだったから。
しかも私はそれを、家族の中だけで済ませなかった。
家長グループでも言っていた。
「今は補助があるから、私立でもそんなに変わらないよ」
「公立にこだわりすぎるのって、ちょっと古いかも」
「情報をちゃんと見たほうがいいよ」
今思い出しても、顔から火が出る。
“情報をちゃんと見たほうがいい”なんて言っていた私自身が、いちばん見えていなかった。
入学手続きが進み、最初の納付を終えて、私はまだどこか余裕でいた。
「ほら、やっぱり何とかなるじゃない」
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