あの日の私は、ただ仕事帰りでクタクタの、どこにでもいる会社員だった。
終電ギリギリまではいかないけど、もう頭は回ってない。肩は重いし、足はだるいし、家に帰ったら即ベッドに倒れ込みたい。そんな深夜だった。
でも、その日の私にはひとつだけ、どうしても片付けたい小さなミッションがあった。
財布の中にずっと残ってる1円玉を、今日こそ消し去ること。
たかが1円。
でも、あの1円って妙にしぶとくないですか?
気づけば財布の隅に転がってて、会計のたびに「今じゃない」と生き残る。
私はあれが地味にストレスだった。
だからその日、会社の近くのローソンに寄った時、心の中で決めてた。
今日は絶対に、この1円玉を始末する。
店内を軽く一周して、私はお菓子棚の前で足を止めた。
そこで見つけたのが、あの小さい四角いチロルチョコ。
しかもミルク味。
値札を見ると、27円、税込29円。
……勝った、と思った。
29円ならちょうどいい。
財布の小銭もいい感じに減るし、何よりあの1円玉をようやく手放せる。
私はちょっとだけ機嫌が良くなって、そのチロルチョコを手に取ってレジに向かった。
ここまでは、完璧だった。
問題は、その次。
店員さんが何の感情もなく商品をピッと通して、いつものように言った。
「32円です」
……は?
いやいやいや、ちょっと待って。
今なんて言った?
32円?
私は一瞬、自分の耳を疑った。
疲れてるし、聞き間違えたのかと思った。
でもレジの表示を見ても、ちゃんと32円って出てる。
私はすぐに言った。
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