朝、机の上に一枚の便箋が置かれていた。
「XXさんから電話がありましたが、非通知なので番号不明。折り返しTELしてください。お名前は聞き忘れました!」
……は?
思わず声に出してしまった。机の上で便箋を握りしめながら、心の中で「マジかよ、2回目だぞ…」と毒づく。新入社員、まだ入って間もないとはいえ、このレベルが2人に1人って、どういうことだ。
俺は深呼吸して電話を手に取った。番号は不明、名前も不明、何をどうしたらいいのか全くわからない。頭の中が真っ白になり、思わず椅子にぐったり座り込む。孫じゃないけど、もう抱きしめてもらいたい気分だった。
それでも仕事は待ってくれない。
「このままじゃ、オレが死ぬ前に新人が電話マスターする日は来ないぞ」
自分に言い聞かせて立ち上がる。電話を片手に、心の中で新入社員に向けて毒舌の嵐を浴びせつつも、今日こそ解決策を見つけようと決意した。
そこで会議室を確保し、全員集合。新入社員を前に座らせ、便箋を見せながらシミュレーション開始。「さぁ、ここでどうする?」俺の声には自然と怒気が混ざる。新人はぎこちなく手を挙げたり、口をモゴモゴさせたり。
「名前忘れたらどうするの?」
「番号不明なら?」
問いかけるたびに、彼らの顔に焦りの色が浮かぶ。俺は心の中で「よし、今こそ本気で教えてやる」とガッツポーズ。
最初はぎこちない動作ばかりだったけど、何度も何度も繰り返すうちに、少しずつ流れを理解し始める。番号の確認方法、名前の聞き方、折り返しの手順…。俺が口を挟むたび、彼らの目が輝いてくるのがわかる。
「え、もうできたの?」俺の心の中で小さな歓声が上がる。
1時間後、テストの電話をかけさせる。便箋通りの状況を再現しても、今度は誰一人迷わない。
「はい、確認しました。折り返します」
「番号はこちらで確認できますか?」
全員完璧にこなす。オフィス全体が、思わず安堵の笑いに包まれた瞬間、俺の胸の中でガッツポーズ。
正直、最初はイライラで頭が破裂しそうだった。でも、あの便箋一枚でここまで成長させられるなんて、思わず自分に拍手を送りたくなる。
新人の顔も晴れ晴れとして、これからが楽しみだ。
教訓:怒りも焦りも、正しい教育と場の雰囲気があれば、全てが大快人心に変わる。
今日の俺の勝利は、単なる業務改善だけじゃない。新人の成長、オフィスの和、そして何より、自分の心の爽快感――これぞ職場で味わえる最高の爽文だ。