息子がその虫を見つけたのは、
近所の小さな公園だった。
夕方、
買い物帰りに少しだけ寄っただけ。
私はベンチに座ってスマホを見ていて、
息子は草むらの近くで遊んでいた。
すると突然、
「ママーーー!!!!!」
ものすごい興奮した声が聞こえた。
何事かと思って振り向くと、
息子が両手をぎゅっと閉じたまま走ってくる。
「見て!!!」
そっと手を開いた瞬間、
思わず私も声が出た。
「え、なにこれ……綺麗」
小さな金色の虫だった。
夕陽に反射して、
まるで宝石みたいに光っている。
息子は大喜びだった。
「キラキラしてる!
すごい!
ママ見て!」
私は虫の名前なんて分からなかったけど、
ここまで嬉しそうな顔を見ると、
なんだかこっちまで嬉しくなる。
すると、
近くにいた親子がこちらへ近づいてきた。
小学生くらいの男の子と、
その母親。
「なにそれー?」
息子は嬉しそうに虫を見せた。
その瞬間だった。
母親の顔色が少し変わった。
「あ、それ……
売れる虫かも」
え?
すると男の子も急に食いついた。
「え!マジ!?
ちょうだい!」
さっきまで普通だった空気が、
急に変わった。
私は少し嫌な感じがした。
息子は虫を隠すように握り直した。
「やだ!
ぼくの!」
当然だ。
自分で見つけたんだから。
でも相手の子は、
無理やり手を掴もうとしてきた。
「ちょっと見せろって!」
その横で母親も笑いながら言う。
「少しくらいいいじゃん〜」
いや、
止めろよ。
私は慌てて間に入ろうとした。
でも次の瞬間——
ぐしゃっ。
嫌な音がした。
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