昨日、会場に入った瞬間、私は目を疑った。
前列の座席に座る中年男性が、靴下姿で堂々と足を座席間に突っ込んでいる。
しかも顔はヘラヘラ。
「あ、ちょっとだけだから」と平然としている。
いや、「ちょっと」じゃ済まされない。
後ろの人の視界は完全に遮られ、足の臭いも漂っている。
周囲の観客たちは気まずそうに視線を逸らすばかり。
私だけでなく、後ろの人たちも明らかに迷惑している。
——なのに、この男だけが完全に無自覚で、傍若無人。
数分前まで立ち見していた私は、そろそろ限界だった。
「これ、無視したら絶対後で後悔する」
深呼吸して、私は決めた。直接注意するか、スタッフに頼るか。
「すみません、足を戻してもらえますか?」
声をかけると、男は一瞬目を丸くした。
しかしすぐに「いや、別に」とヘラヘラ笑い、完全に挑発してくる。
観客たちの視線は冷たく、私の背中にじわじわプレッシャーがのしかかる。
私はすぐにスタッフに連絡。
場内の監視員が駆けつけ、状況を説明する。
男は、今度こそ初めて「自分の行為が問題」と向き合うことになる。
「後ろの方の視界を遮っています。足を戻してください」
スタッフの声は冷静だが鋭く、会場全体に響き渡る。
男は、もぞもぞと足を引っ込め、ヘラヘラ顔は一瞬で消えた。
周囲の観客たちも、視界が戻ったことに小さく安堵の声を漏らす。
しかしここで終わらない。
スタッフの注意により、会場の空気は完全に「秩序側」に傾いた。
ヘラヘラしていた男の肩には、観客全員の視線が刺さっている。
その圧力で、男はついに小さく「うん」と頷くしかなくなった。
私は心の中でガッツポーズ。
「公共の場所で自分勝手に振る舞っても、理性とルールには逆らえない」
爽快感が全身を駆け巡る。
会場の視線は私にではなく、問題行動をした男性に向かっていた。
これぞ、社会の理不尽に立ち向かう瞬間の勝利だ。
その後、スタッフは座席マナーの簡単な説明を行い、観客にも注意喚起。
男性は渋々従い、二度と足を座席に置くことはなかった。
イベントが再び平和になり、私は最後まで安心して楽しむことができた。
後列の観客たちもやっと心置きなく観戦できる。
「自己中心的な行動も、正しい対応の前では屈する」
今日、私が目撃したのは、そんな小さな正義の勝利だった。